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相続した住宅を売却する時の税金は?手続きや注意点も紹介

財田 紗月姫

筆者 財田 紗月姫

不動産キャリア31年

はじめまして。「街の不動産屋さん」株式会社アサヒコーポレーションの財田紗月姫(たからださつき)です。業界歴31年。賃貸・売買・住み替え・相続・売却まで、不動産のことなら何でもご相談ください。お客様に寄り添い、ご相談からお引渡しまで責任を持ってサポートいたします。「相談して良かった」と思っていただける対応を心掛けています。お気軽にご相談ください。皆様とのご縁を心よりお待ちしております。

大切なご家族を見送った後、受け継いだ住宅をどう扱うべきか迷う方が増えています。売却すれば現金化できますが、その際には税金や手続きが複雑で不安を感じる方も少なくありません。この記事では、相続した住宅を売却する際に避けて通れない税金の知識や、知っておくと得する税制上の特例、押さえておきたい手続きのポイントまで、わかりやすく丁寧に解説します。初めて売却を考える方も、ぜひ最後までご覧ください。

相続した住宅の売却でまず知っておきたい税金の基本的な仕組み

相続された住宅を売却する際には、主に以下の三つの税金が発生します。それぞれの内容を押さえて、売却後の負担を正しく理解しましょう。

税金の種類 概要 リスク・注意点
譲渡所得税・住民税・復興特別所得税 売却で得た「譲渡益」に課税されます。譲渡益=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除 取得費の算出や特別控除の適用条件に注意が必要です
印紙税 売買契約書に貼り付ける印紙にかかる税金です。軽減措置が2027年3月31日まで適用されています 契約書の部数に応じて税額が変わるため、文書管理にも注意
登録免許税 相続登記や抵当権抹消登記に必要な税金。「固定資産税評価額×0.4%」などで算出 売却前に登記手続きが済んでいないと余計な費用負担につながる可能性があります

まず、「譲渡所得税」等は、譲渡価格から取得費や譲渡に要した費用、そして条件を満たせば特別控除額を差し引いた額に税率をかけて算出します。この取得費には、被相続人がその住宅を取得した際の費用を引き継ぎ、相続税を取得費に加算できる特例もありますので、正しく計算することが重要です 。

次に印紙税については、売買契約書を交わす際に課されるもので、現在は軽減措置が2027年3月31日まで適用されています。印紙税額は契約金額によって段階的に決まり、電子契約を利用すれば課税対象外となる場合もありますので、契約方法による違いにも注意しましょう 。

最後に登録免許税ですが、相続登記では固定資産税評価額の0.4パーセントを納める必要があります。例えば評価額2,000万円であれば、登録免許税は約8万円となります。また、住宅ローン返済後の抵当権を抹消する「抵当権抹消登記」も忘れずに対応しましょう 。

相続した住宅を売却する際に活用できる代表的な税制上の特例

相続した住宅の売却に際しては、節税に大きく役立つ2つの代表的な特例があります。

特例の名称主な内容適用期限
空き家に係る譲渡所得の3000万円特別控除 譲渡所得から最大3000万円を控除できる(相続人が3人以上の場合は2000万円) 令和9年12月31日まで(令和6年1月以降の譲渡については要件緩和)
取得費加算の特例 相続税の一部を取得費に加算し、譲渡所得を圧縮できる 相続開始の翌日から3年10ヶ月以内に譲渡

まず「空き家特例」と呼ばれる「被相続人の居住用財産(空き家)にかかる譲渡所得の特別控除」は、相続または遺贈によって取得した被相続人が居住していた住宅や敷地を売却する場合、一定要件を満たせば譲渡所得から最高3000万円を控除できます。令和9年12月31日まで適用可能で、相続人が3人以上の場合には控除額が2000万円に減額されます 。さらに令和6年1月以降の譲渡では、売却後の翌年2月15日までに耐震改修や取り壊しを行えば、要件を満たしたものとして扱われるようになり、適用範囲が広がりました 。

もう一つの「取得費加算の特例」は、相続税を支払った人が相続開始の翌日から3年10か月以内に相続財産を売却する場合、取得費に相続税額の一部を加算でき、譲渡所得を減らすことができます 。具体的な計算例では、相続税額や評価額に応じて取得費へ加算され、それにより譲渡所得税が大幅に軽減される効果が確認されています 。特例を受けるには「相続税申告書の写し」や「取得費に加算する相続税の計算明細書」、「譲渡所得の内訳書」などを確定申告時に添付する必要があります 。

これらの特例を適用するには、売却までの期間や書類準備など、細かな条件を満たす必要があります。例えば「空き家特例」は売却価格が1億円以下であること、適用できるのは一人の被相続人から相続した住宅1件のみであること、耐震要件や居住状況などの制限があることなどが求められます 。

このように、相続した住宅を売却する際には、「空き家特例」と「取得費加算の特例」という2つの税制上の特例を適切に活用することで、譲渡所得税の負担を大きく軽減することが可能です。売却を検討されている方は、早めに要件や準備書類の確認を進めることが重要です。

相続した住宅売却に関するその他のポイントと制度動向

相続した住宅の売却にあたっては、最近の制度改正や制度の動向を正しく理解することが大切です。まず、相続登記の義務化が2024年(令和6年)4月1日から始まり、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記を行わなければ、過料(10万円以下)が課せられるようになりました。過去に相続登記をしていないケースも対象となり、2027年(令和9年)3月31日までに手続きを完了する必要があります。これは所有者不明土地を防ぐための社会的な背景によるものです。

制度・ポイント内容留意点
相続登記の義務化2024年4月1日施行、相続を知った日から3年以内過去の相続も対象。期限は2027年3月31日まで
相続人申告登記遺産分割が難しい場合、一部相続人が申告可能これで義務は果たせるが、売却時には正式な登記が必要
所有不動産記録証明制度2026年2月2日より、法務局で相続人が被相続人名義の不動産一覧を取得可能住所・氏名が登記簿と一致しないと一部不掲載の可能性あり

また、遺産分割協議が整わず相続登記が困難な場合でも、新たに導入された「相続人申告登記」を活用すれば、法務局へ相続人としての申告を行うだけで義務を暫定的に果たせます。ただし、将来的に住宅を売却する際には正式な相続登記が必要となる点には注意が必要です。

さらに、2026年(令和8年)2月2日から「所有不動産記録証明制度」が始まり、相続人は法務局で被相続人が登記簿上に所有していた全国の不動産を一覧で取得できます。売却可能な住宅の確認や処分検討に役立つ制度ですが、登記簿の氏名・住所と請求時の情報が一致しない場合、一覧に含まれないことがある点にも留意してください。

これらの制度整備や見直しは、相続から売却までの流れをスムーズにし、不要な手続きの負担やリスクを軽減するために設けられています。早めの対応と制度の正しい理解が、相続した住宅の管理や処分を安心して進める鍵となります。

確定申告と準備すべき書類・タイミング

相続した住宅を売却した場合、売却で利益(譲渡所得)が発生した際には、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告をする必要があります。これは、所得税・住民税の計算に関わるためであり、譲渡所得がプラスである場合には必ず申告を行わなければなりません。譲渡損失の場合は申告義務はないものの、他の所得との損益通算は原則できないため、特例を活用する際には申告が必要となります。

次に、確定申告の際に準備すべき主な書類をまとめました。

項目具体的な書類備考
基本の申告書類確定申告書(第一表・第二表・第三表)・譲渡所得の内訳書分離課税用の書類も含む必要あり
取引関連書類売買契約書の写し・取得時・譲渡時の領収書取得費・譲渡費用の証明に必要
相続関連書類被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)・登記事項証明書・相続税申告書の写し特例適用や権利関係の確認のため必須

(注:ここに記載の書類名は代表例ですが、売却の内容や特例の利用有無によって追加で書類を求められる場合があります。)

たとえば、「空き家に係る3000万円特別控除」などの特例を適用する場合には、さらに以下のような書類が必要となります:被相続人居住用家屋等確認書(自治体発行)、耐震基準適合証明書などの証明書類。これらは、市区町村役場や自治体窓口・法務局で取得・証明を受ける必要がありますので、余裕をもって準備してください。

また、提出方法としては、紙ベースで税務署の窓口や会場へ持参する方法、郵送、あるいは電子申告(e‑Tax)を利用する方法があります。電子申告を利用する場合は、マイナンバーカードや対応スマートフォン、ICカードリーダーなどが必要です。提出後は、申告データおよび提出書類の電子データを5年間保存する義務がありますので、整理・保管をしっかり行ってください。

特例を受けるためには制度上の期限や書類の不備がないことが重要です。不備や期限超過があると、せっかくの特例が適用されないリスクがありますので、早めに準備を進め、必要に応じて税務署や税理士にご相談されることをおすすめいたします。

まとめ

相続した住宅の売却には、譲渡所得税や住民税といった税金が関係し、また適用できる特例制度もいくつか用意されています。これらの制度を正しく理解し、早めに必要な手続きや書類の準備を進めることで、税負担を軽減しつつ安心して売却を進めることが可能です。特に相続登記の義務化や、特例の申請期限などにも注意が必要です。売却を進める前に一度流れを整理し、落ち着いて対応することが大切です。

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